編集部による総合ガイド
子猫を迎えた最初の30日|社会化・ワクチン・食事・健康チェックの完全ガイド
子猫を迎えてからの最初の1か月は、その子の一生の健康と性格の土台ができる、とても大切な時期です。やるべきことは「健康チェック」「社会化」「ワクチン」「食事」「日本での手続き」と多岐にわたりますが、順番と理由がわかれば難しくありません。このガイドでは、海外の獣医学ガイドライン(AAHA/AAFP など)と日本の制度をもとに、最初の30日でおさえるべきポイントを編集部が一本の流れに整理しました。なお本記事は情報提供を目的としたもので、個別の判断は必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
最終更新: 2026-06-23
迎える前に|子猫は「何週齢」から迎えるべき?
子猫は生後およそ8週で離乳が完了し、多くの保護団体ではこの8週齢を譲渡の目安としています。ただし、可能であれば生後12週ごろまで母猫やきょうだいと一緒に過ごす方が望ましいとされます。ブリーダーでは12〜14週まで待つことも珍しくありません。[5]
理由は性格形成にあります。母猫やきょうだいと過ごす中で、子猫は「噛む力の加減」「猫同士のコミュニケーション」を学びます。早すぎる母離れ(おおむね生後8〜12週より前)は、成猫になってからの攻撃性・不安・常同行動のリスクを高めることが研究で報告されています。[5]
- 譲渡の最低ライン: 離乳が済む生後8週以降
- 望ましい目安: 生後12週前後まで母・きょうだいと一緒
- 早すぎる引き離しは、噛み癖・過度の不安・グルーミング不全などにつながりうる
最初の数日|静かな環境づくりと「最初の動物病院」
迎えた直後の子猫は、慣れない環境で強い不安を感じています。まずは一部屋(またはケージ)に、トイレ・水・隠れられる場所を用意し、少しずつ生活範囲を広げます。
そして迎えてから数日以内に動物病院で初診を受けましょう。最初の健康チェックでは、体重測定・全身の状態確認に加え、便による寄生虫検査や、後述のFeLV/FIV検査が行われます。子猫の健診は1回で終わらず、月齢に応じて数回(おおむね2〜4回)通うのが一般的です。[6]
- トイレは低めのふちで入りやすいものを。猫はもともと砂で排泄する本能がある
- 初診で「寄生虫検査」は重要。人にうつる種類の寄生虫もいるため[6]
- ワクチンや検査のスケジュールは初診で獣医師と相談して決める
社会化|性格を左右する「2〜7週」の感受期
子猫には、人や環境への慣れが特に進みやすい「感受期(社会化期)」が生後2〜7週ごろにあります(最大で9週ごろまで続くとされます)。この時期に、男女・大人・子どもなど複数の人にやさしく扱われた子猫は、成猫になっても人なつこくなりやすいことが古典的な研究(Karshらの実験)で示されています。[2][3]
ここで大切な注意点があります。感受期の中心(2〜7週)は、多くの場合あなたが迎える前(母猫やブリーダー・保護主のもと)に過ぎています。だからこそ、迎える前は「人に慣らされて育った子か」を確認して選び、迎えた後も7〜16週ごろは学習が続くため、やさしく抱く・なでる・生活音に慣らすことを、無理なくポジティブに続けることが大切です。[2]
子猫を怖がらせない範囲で、いろいろな人・音・体験に「良い経験」として触れさせることが、おとなになってからの落ち着きにつながります。
ワクチン|FVRCPの3回シリーズとFeLV
子猫の中心となるワクチンは、3つのウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎=ヘルペスウイルス、カリシウイルス、汎白血球減少症)を防ぐ「FVRCP(3種混合)」です。AAHA/AAFPのガイドラインでは、生後6〜8週から3〜4週間隔で接種し、最後の1回は生後16週以降に打つことが推奨されています。[1]
猫白血病ウイルス(FeLV)のワクチンも、すべての子猫に推奨されます。最初の接種は生後8週ごろから可能で、接種前に感染の有無を検査します。[1][6]
日本での補足として、狂犬病ワクチンは日本では猫に法的な接種義務はありません(義務があるのは犬)。室内飼いか、生活環境などに応じて、必要なワクチンは獣医師と相談して決めます。
- FVRCP: 6〜8週開始 → 3〜4週ごと → 16週以降まで続ける[1]
- FeLV: 8週ごろから。接種前にFeLV検査[1][6]
- 接種の最終判断・本数は、その子の状況に応じて獣医師が決める
食事|「子猫用(成長期用)」を1歳ごろまで
成長期の子猫は、成猫よりも多くのエネルギーと栄養を必要とします。「子猫用(キトン/成長期用)」と表示された総合栄養食を、おおむね生後8か月〜1歳まで与えるのが基本です。[6]
- パッケージの給与量を目安に、体重の増減を見て調整する[6]
- 一度にたくさん食べられないため、少量を複数回に分けて与える
- 新鮮な水をいつでも飲めるようにする
寄生虫・FeLV・FIVの検査|「もらってすぐ」が原則
子猫の健康チェックで特に大切なのが、寄生虫と2つのウイルスの検査です。
- 寄生虫: 初診時に便検査でスクリーニング。人にうつるものもあるため重要[6]
- FeLV(猫白血病ウイルス)・FIV(猫免疫不全ウイルス): 迎えたらできるだけ早く検査するのが原則。陰性でも60日後の再検査が勧められることがある[6]
- 注意: 生後6か月未満の子猫のFIV抗体検査は、母猫からの移行抗体で「偽陽性」になることがある。陽性でも6か月齢で再評価すると陰性になることが多く、結果の解釈は慎重に行う[6]
日本の手続き|マイクロチップの登録
2022年6月1日の改正動物愛護管理法により、ペットショップやブリーダーが販売する犬・猫にはマイクロチップの装着・登録が義務化されました。飼い主側の手続きは、入手経路で変わります。[4]
- ペットショップ・ブリーダーから購入(2022年6月以降): すでにチップは装着済み。飼い主は所有者情報を自分に変更登録する義務がある[4]
- 知人・保護団体から譲り受けた/すでに飼っている: チップ装着は努力義務(できるだけ装着)。ただし、譲り受けた子にすでにチップが入っている場合は、飼い主情報の変更が必要[4]
- 登録は環境省のデータベースで行う[4]
最初の30日チェックリスト
迎えてからの1か月で押さえておきたいことを、チェックリストにまとめました。
- 生後8週(できれば12週)以降に迎えたか確認
- 数日以内に動物病院で初診(体重・全身・寄生虫便検査)
- FeLV/FIV検査を受けた
- FVRCPワクチンのスケジュールを獣医師と決めた
- 子猫用(成長期用)の総合栄養食を少量・複数回で与えている
- やさしい抱っこ・なで・生活音への慣らしを続けている
- マイクロチップの登録(購入なら変更登録)を済ませた
参考にした主な情報源(最終確認: 2026-06-23)
本ガイドは編集部のオリジナル執筆ですが、非自明な主張は以下の獣医学ガイドライン・査読研究・公的情報に基づいています(本文中の[番号]に対応)。
- 1. AAHA/AAFP「2020 Feline Vaccination Guidelines」(FVRCP・FeLVの接種スケジュール)
- 2. International Cat Care「Bringing up a litter of kittens」(社会化感受期・継続的な慣らし)
- 3. Waltham / Companion Animal Psychology(2〜7週の感受期・Karsh研究の解説)
- 4. 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」(2022年改正・義務/努力義務・変更登録)
- 5. Ahola MK, Vapalahti K, Lohi H.「Early weaning increases aggression and stereotypic behaviour in cats」Scientific Reports, 2017(ヘルシンキ大学)。および International Cat Care のガイドライン(母離れの適齢8〜12週・早期分離のリスク)
- 6. AAHA/AAFP「2021 Feline Life Stage Guidelines」ほか獣医学の一般的解説(初診・栄養・寄生虫・FeLV/FIV検査と移行抗体の注意)
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