猫の精巣、一つしか見えない?放置でがんや激痛の可能性
健康・医療猫の停留精巣は稀な状態ですが、放置すると精巣捻転や腫瘍のリスクが高まります。 去勢手術での早期発見が重要。 自宅でのチェック習慣も大切です。
愛猫の健康に潜む意外なリスク
Journal of Feline Medicine and Surgery Open Reportsに掲載された最新の研究は猫の「停留精巣(ていりゅうせいそう)」が稀な状態ながら、放置すると重大な健康問題を引き起こす可能性があると指摘します。
この研究では腫瘍ではない停留精巣を持つ猫で発生した精巣捻転の症例が報告されました。
猫の停留精巣は犬と同様に将来的な精巣捻転や腫瘍のリスクを高める可能性があります。
愛猫の健康を守るため、飼い主が知っておくべき点があります。
精巣が「降りてこない」状態
停留精巣とは文字通り精巣が陰嚢の中に正常に移動しない状態を指します。
通常、子猫が成長する過程で精巣は腹腔内から陰嚢へと移動しますが停留精巣の猫ではこの移動が途中で止まってしまいます。
猫における停留精巣の発生率は3.8%未満です。
犬に比べると非常に珍しいため、見過ごされがちな点に注意が必要です。
精巣が腹腔内や鼠径部に留まっている場合、外見からは気づきにくいものです。
犬の事例から学ぶ危険性
犬では停留精巣が精巣捻転(精巣がねじれること)や精巣腫瘍(がん)のリスクを大幅に高めることが以前から知られており、予防的な摘出手術が強く推奨されます。
精巣捻転は激しい痛みを伴い、緊急手術が必要となることもある病気です。
今回の猫の症例報告は腫瘍ではない停留精巣で精巣捻転が発生したケースです。
これは猫においても犬と同様に停留精巣が将来的な健康問題に繋がり得ることを示しています。
猫だからといって安心はできません。
精巣が体温の高い腹腔内にあることで細胞が異常増殖しやすくなることが腫瘍リスクを高める一因と考えられます。
愛猫の健康チェック
猫の停留精巣は去勢手術の際に初めて発見されるケースも少なくありません。
もし愛猫が子猫の時に去勢手術を受けていない、または去勢手術時に精巣が一つしか確認できなかったという場合は停留精巣の可能性を考慮しましょう。
飼い主が自宅でできることとしては子猫の時期から陰嚢を優しく触り、精巣が二つとも触れるかを確認する習慣をつけることが挙げられます。
もし異常を感じたら、迷わず獣医師に相談してください。
早期発見が愛猫の将来的な健康リスクを回避するための鍵となります。
日本の猫飼育文化と去勢手術
日本では野良猫の繁殖抑制や病気のリスク軽減のため、去勢手術が広く推奨され、多くの飼い主が実践しています。
この去勢手術は停留精巣の早期発見にも繋がる重要な機会です。
手術時に精巣が一つしか確認できない場合、獣医師は腹腔内や鼠径部の精巣を探し、摘出します。
これは停留精巣のリスクを未然に防ぐための、非常に有効な手段です。
去勢手術は単なる避妊・去勢だけでなく、愛猫の潜在的な健康問題を早期に発見し、対処するための大切な医療行為であることを改めて認識することが日本の猫飼育文化において極めて重要です。
稀だからこそ知っておきたい
猫の停留精巣は稀な状態ですが今回の研究が示すように決して無視できない健康リスクを伴います。
愛猫の小さな変化に気づき、定期的な健康チェックと獣医師との密なコミュニケーションを通じて、病気の早期発見・早期治療に努めることが何よりも大切です。
原典
JFMS Open Reports: https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/20551169261424968
出典: JFMS Open Reports / CC BY 4.0
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