猫の術後嘔吐、鼻胃管吸引で6割減
健康・医療猫の消化管異物除去手術後、鼻胃管による胃内残渣量測定と定期吸引で嘔吐・逆流が50〜60%減少。鎮痛剤メトドンも効果的。
猫の術後ケアに新常識?胃の負担を測る重要性
Frontiers in Veterinary Scienceに掲載された新しい研究は猫が消化管異物除去手術を受けた後の回復期において、嘔吐や逆流といった合併症のリスクを予測・軽減するための新たな知見を明らかにしました。
具体的には鼻胃管を用いて胃内残渣量(GRV)を測定することが猫の胃の負担を把握し、術後管理に役立つ可能性を示唆しています。
この発見は手術後の猫をより安全に回復させるための一歩となるでしょう。
胃内残渣量(GRV)が示すもの
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研究では胃内残渣量(GRV)が12 mL/kgを超えると猫が術後に嘔吐や逆流を起こすリスクが高まることが示されました。
胃内残渣量(GRV)とは胃の中に消化しきれていない食べ物や液体がどれくらい残っているかを示す数値です。
この数値が高いということは胃に大きな負担がかかっている状態であり、獣医師にとっては猫の消化管がどの程度回復しているかを判断する重要な指標となります。
必要に応じて追加の消化管サポートを検討する際の参考にもなるでしょう。
鼻胃管の定期吸引でリスクを半減
研究ではさらに、鼻胃管を4~6時間ごとに定期的に吸引することで嘔吐や逆流の発生率を約50〜60%減少させられることが明らかになりました。
胃の中の液体やガスを物理的に排出することで胃の拡張や圧迫を防ぎ、猫の不快な症状を和らげる効果があると考えられます。
ただし、鼻胃管の留置は入院期間を長くする傾向があるものの、合併症の発生率は2.9%と低く、重篤なリスクは少ないといえます。
この方法は術後の合併症を減らす有効な手段として期待されます。
猫は犬よりも嘔吐しにくい?鎮痛剤の選び方も重要
この研究では猫が犬に比べて術後の嘔吐や逆流を起こしにくい傾向があることも示されました。
これは猫の生理的な特性や、研究対象となった猫の数の違いが影響している可能性もあります。
また、術後の痛み止めとしてメトドンを使用した猫は他の鎮痛剤を使った猫に比べて嘔吐や逆流の頻度が低いことも判明しました。
これらの知見は個々の猫の体質や状態に合わせて、よりきめ細やかな治療計画を立てるための貴重な情報であり、獣医師が適切な鎮痛剤を選択する際の参考となるのです。
飼い猫が手術を受ける前に知っておきたいこと
日本の室内飼いの猫は好奇心から異物を誤飲してしまうケースも少なくありません。
消化管異物除去手術が必要になる前にまずは猫が誤飲しないようおもちゃの選び方に注意したり、小さなものを床に放置しないなど、自宅の環境を整えることが大切です。
もし飼い猫が手術を受けることになったら、今回の研究で示された胃内残渣量(GRV)の測定や鼻胃管による吸引、鎮痛剤の選択肢について、飼い主からも獣医師に質問してみるのも良いです。
積極的に医療に関わることで飼い猫にとって最善の術後ケアに繋がる可能性があります。
飼い猫の回復のために獣医療の進化に目を向ける
今回の研究は猫の消化管異物除去手術後の管理において、獣医療の質をさらに向上させる一助となるものです。
もし飼い猫がこのような難しい状況に直面したとき、最新の知見に基づいた最適なケアを受けられるよう飼い主としても獣医療の進歩に目を向け、理解を深めていくことが望まれます。
原典
Frontiers in Veterinary Science: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2026.1791629
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