歩けぬ猫、首のヘルニア手術で10日後歩行可能に
健康・医療首の椎間板ヘルニアで麻痺したブリティッシュショートヘアの猫が、高度な脊椎手術を受け、わずか10日で歩けるまでに回復した事例報告。
ある日、歩けなくなったブリティッシュショートヘアの物語
ある日、愛するブリティッシュショートヘアの猫が突然歩けなくなったら、飼い主は不安を感じるでしょう。
Frontiers in Veterinary Scienceに掲載された研究が首の椎間板ヘルニアにより重度の歩行困難に陥ったブリティッシュショートヘアの治療とその驚くべき回復の軌跡を報告しました。
この研究は猫の椎間板ヘルニア治療に新たな知見をもたらし、猫の脊椎疾患への理解を深め、飼い主が早期に異変に気づくことの重要性を示します。
猫の椎間板ヘルニアとは?首の病気が引き起こす麻痺
猫の椎間板ヘルニアは犬に比べてまれな病気ですが重症化すると歩行困難や麻痺を引き起こす深刻な状態です。
椎間板ヘルニアとは背骨と背骨の間にあるクッション材(椎間板)が飛び出し、その近くを通る神経(脊髄)を圧迫する状態を指します。
今回の症例ではこのブリティッシュショートヘアの猫の首のC3-C4とC4-C5という複数の箇所で椎間板が飛び出し、脊髄を強く圧迫していました。
そのため、四肢に麻痺のような症状が出て歩けなくなってしまったのです。
難易度の高い手術と驚きの回復プロセス
神経が集中する首の脊髄手術は非常に高度な技術を要します。
この猫に対しては「腹側スリット」という外科手術が行われました。
これは首の下側からアプローチし、飛び出したクッション材を取り除く手術です。
今回は隣接する2つのヘルニアを取り除くためにこの処置がなされました。
手術直後には一時的に症状が悪化する様子も見られましたがその後急速に回復が進み、わずか10日後には自力で歩けるようになったのです。
1年後の経過観察では軽度の後肢麻痺は残ったものの、日常生活に支障がないレベルまで回復し、リハビリテーションを継続しています。
ブリティッシュショートヘアに潜む脊椎疾患のリスク
今回の研究はブリティッシュショートヘア種が他の猫種に比べて脊椎疾患にかかりやすい可能性を示唆しています。
これは遺伝的な要因や、この猫種に多いとされる肥満がリスクを高める可能性も考えられます。
特定の猫種が特定の病気にかかりやすいという情報は飼い主にとって非常に重要です。
ブリティッシュショートヘアを飼育する方は特にこの病気に注意が必要であると言えます。
愛猫の「いつもと違う」を見逃さない!飼い主ができること
日本の猫飼育文化では室内飼育が主流となり、愛猫の健康管理への意識は高まっています。
飼い主が日頃から愛猫の歩行や運動能力、首の動き、食欲などの変化に注意を払うことは非常に大切です。
もし、急に歩き方がおかしくなったり、首を触られるのを嫌がったり、高いところに上らなくなったりといった異変を感じたらすぐに獣医師に相談してください。
早期に発見し治療を始めることが猫が再び元気に動けるようになるための鍵を握ります。
また、適度な運動と体重管理は脊椎疾患のリスクを低減する可能性もあるため、日々の生活で意識したいポイントです。
獣医療の進化が拓く、愛猫との幸せな未来
今回の症例報告は猫の椎間板ヘルニア治療における新たな選択肢を示し、獣医療の発展に大きく貢献するものです。
どんなに困難な病気であっても最新の治療と飼い主の愛情、そして適切なリハビリテーションによって、愛猫が再び元気な生活を送れる可能性は十分にあります。
全ての猫が健康で幸せに暮らせるよう獣医療のさらなる進歩と私たち飼い主の意識向上が期待されます。
原典
Frontiers in Veterinary Science: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2026.1779092
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